
六道家の綱吉君、六歳。骸パパと映画観賞後。
弟と二人で見てたんですが、終わった後に二人してプレデター何で死んでまうん?コール。
「かっこよすぎやろ、プレデター」「うわ、あかんわーほんまあかんわー。奴は癒えない傷をつけてくれた」「一週間ぐらい俺の中で盛り上がりそうなんやけど」「うちもやわー」「続編見てぇ」「え、あんの?」的な会話を。
という訳で、以下に幼児化綱吉とパパ骸パラレルSSが。
「……は?」
ぐすぐすと涙する綱吉に首を傾げた骸は、もう一度お願いします、と言った。
綱吉は画面を指差しながら、(今はエンドロールが流れている)泣きの混じった声で骸に訴えた。
「ぷ、ぷれでたー、かわいそうだよぉ」
理解しがたい台詞を、数回脳内で繰り返してから、骸はようやくぽんと手を打った。
「なるほど、主人公と共闘したからには、何かしら主人公と心を通わせたのではないかと君は思った訳ですね? 言葉が通じれば、人間は途端に相手を心内に置きますからねぇ」
「うぅ……。だ、だって、プレデターは、」
「ですが綱吉君、奴とてほら、人間を殺してますからね。仕方無い……というか、本当に優しいですねぇ君は。目に入れたい! ああ何て可愛いんでしょう!」
親馬鹿モードに突入した骸をさておき、綱吉はえぐえぐと泣きながら、DVDのリモコンを操作して最初からエイリアンVSプレデターを見直す事にした。あまりの怖さに骸に抱きついてあまり内容を見ていなかったのだが、こうなるのなら彼(?)の勇姿を目に焼き付けねばと思ったのだ。
しかし怖いものは怖い。
しまりのない笑顔の骸のあぐらの中に移動する。すかさず骸が綱吉を抱き締める。
「おや? もう一回見るのですか?」
「うん」
「じゃあ、次は映画館に行きますか。2がやるらしいですし」
「う……ん」
映画館では泣き声は上げられない。ついでに骸は隣に座る事になるので抱きつけない。躊躇するものがあるが、興味をそそられるのも事実だ。
わくわくした顔の骸(内心で、この二種族が実際いれば世界征服に使えそうだと考えている)をちらりと見上げ、抱き締めて来る腕にそっと小さな紅葉の手を添えた綱吉は、叫び声をあげるエイリアンにびくびくとしながらも、画面を見続けた。
一時間後、買い物から帰って来た千種から、残虐シーン満載なこの映画を幼い綱吉に見せるな、と鉄拳制裁が骸に下される事になり、エイリアン以上に恐ろしい千種のその表情に、犬と綱吉が二人慄くのは、まあ、まだ知らなくてもいい事だろう。
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