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燃焼

   

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ジャンル外短文四つ


 悪夢を見た。
 久しぶりに強烈な悪夢だった。昨日の夜に見たのに、まだ頭が痛い。
 あー……マジ泣きしながら目が覚めたのも十年ぶりぐらいか。
 悪夢っていうか、悲劇? 気持ち悪い感じの悲劇。心臓に思いっきり杭を突き立てられたような感じに衝撃的すぎる悲劇ちっくな気持ち悪い夢。正夢くさくて何だかマジで寒気するよ。
 いやいや、大丈夫さ。だって年代が違うし。


 鏡を見なくて、良かった。
 でも自分の顔が見れないのは、とても怖いことだ。






 続きに、やっちゃった感満載な短文をいくつか。
 まるマ(ギャグ)とBBB(日常)と番号6(甘)と十字界(スプラッタ)。








↓に行けば行く程、流血表現があったりするのでご注意下さい。


・まるマ ギャグ 出戻り次兄虐められ話


 最近何だか、俺の周りがちょっとおかしい気がするんだよ。
 まあ、気のせいのような、気が、しないでもないんだけど。

 例えばわがま……ヴォルフ。
 俺のベッドに入り込むのはいつもの事だし、悲しい事に慣れちゃっんだけど、最近あいつが早起きをするようになったんだぜ。丁度俺が起きるのよりちょっと早いぐらいに。何これ、一体何の天変地異!? 災いが起きるんじゃないかとはらはらしてるんですけど! とまあ、早起きして、俺を起こしてくれる、のはいいんだけどさあ。
 なぜかその後で登場するコンラッドと笑顔でずっとにこやかに会話してるんだよな。ちょっと変な光景って感じ。でも、コンラッドもシマロンから戻って来たところだし、ヴォルフもお兄ちゃんがいなくて寂しかったのかなーって思いながら、俺は一人着替えて(前まではコンラッドが着替えさせてくれてたんだけど)、一人朝のロードワーク(前まではコンラッドと一緒に行ってた)に出発するわけ。
 あんなにお兄ちゃんダイスキなヴォルフラムを見るのは初めてだよ。

 次にグリエちゃん。
 ま、これは仕方無い面もあるよな。
 ヴォルフとコンラッドがずっと話してるから俺が一人になってしまう、ので、朝のロードワークの護衛をヨザックがしてるって訳だ。走ってたら、いつの間にかヨザックが隣に並んでる。気配無さ過ぎなんだよ!
 最初会った時は結構、ぐっさりくることばかり言われたけど、今じゃ楽しいお庭番だし。いいグリエちゃんだよ! いやあ、ずっとコンラッドと一緒だったけど、たまには別の人と走るのもいいかもな!
 で、いつものコースを走って、出発点まで戻ればコンラッドが何かひきつった笑顔で待ってくれてんの。

 それからギュンター。
 ギュンターはいつも変だけど。最近は変じゃなくて変だ。ええっと……まともすぎて、変?
 ギュン汁の無いギュンターなんてギュンターじゃない! なんだよー、あんた美形みたいな顔も出来たんだよな。ほんとは有能だもんなー。執務室までコンラッドとヨザックが送ってくれて、着いた瞬間に毎朝、コンラッドは何やらギュンターから仕事が与えられてる。最近コンラッド忙しいみたいだ。キャッチボールも出来ないけど、まあグリエちゃんが代わりにやってくれるから、文句は言わないでおこう。仕方無いよな、仕事だもん。

 一番おかしいのはグウェンだと思う!
 猫ちゃんは好きか、とかうさちゃんはどうだ、とか! 前から可愛いもの好きって事は知ってたけど、二人っきりになった瞬間に聞いてくるのにはびっくりした。何だろう、覚醒した、とか?
ほんと、グウェンって可愛いの好きだもんなー。あ、こないだもらった猫ちゃんは可愛かった。うん、初めはぶたちゃんだと思ってたんだけどね。
 グウェンとかアニシナさんの影響か、うちの愛娘もあみぐるみを始めたみたいだ。うちの子の作品はやっぱり可愛い! ちょっとほつれた毛糸なんかキュートすぎる! ただ、あみぐるみの師匠がアニシナさんってのがちょっと不安だ。グレター! 今急いで将来決めなくてもいいんだからな! お父さんは毒女になるのは反対です!



「って村田? 聞いてねーだろ!」
 村田健、通称大賢者は、元クラスメイトを呆れた視線で眺めやった。
「聞いてるよー。へえなるほどねぇ……で?」
「だからさ、何でこうなってんのかなぁって思ってさ」
「僕に聞きに来た訳だ」
「そうなんだよ。おかしくね?
 こくり、と頷いた渋谷有利は、それからこてんと首を傾げた。
 シャツの襟からちらりと覗いた鎖骨を村田は凝視しながら言う。
「まあ、いいんじゃないの? 害は無いんだろ?」
「害は無いんだけどなー」
 何か問題でも、と尋ね返すと、有利はしかめっ面になった。
「何か、今までずっとコンラッドが一緒だったからさ。折角シマロンから戻って来たってのに……皆にとられて悔しい気分。ま、俺よりずっと付き合いが長いから仕方ないのかもしんないけど、ちょっぴりこう……」
「ジェラシー? 渋谷って結構情深いからねえ」
「うぅ……」
「ま、ウェラー卿は今忙しいんだろ。書類やら仕事やら何やら溜まりまくってるんじゃないかな。それが整理するまで待っていてやったら?」
「そうする」
 頷いて、ふわりと笑う笑顔に釘付けになった。
 ああ可愛い可愛い。可愛すぎる。
「ありがとな、村田! こんなん相談乗ってくれそうな人、他にいなくてさー」
「いーよいーよ。君と僕との仲だろ? 遠慮する事無いって」
 欲を言えば、健、とか、ユーリ、とか呼び捨てしあう仲になりたいものだけれど、急ぎはしないさ。
 幸いにして僕はこちらでもあちらでも共にいる事ができるしね。
 ありがとなー、ともう一度言ってから、27代魔王陛下は、眞王廟から出て行った。
 もちろん笑顔でお見送りを忘れない。


「それにしても、皆、ウェラー卿に仕返ししたくてたまらないんだねえ。かわいそうに。確実に渋谷から引き離されてるじゃないか」
「そう言うお前とて、結局真相を話さないあたり、腹黒いものがあると思うのだがな」
 背後にいるどこぞのわがままプーに似た男に、鼻で笑って返す。
「何で言う必要があるのかな?」
「……強くあれ、ウェラー卿」





・BBB ほのぼのギャグ

 ロンドンの街並みを疾走する。
 真夜中のそれは、街灯に照らされて薄く仄かに浮かび上がっていた。この街特有の霧が、視界を遮って漂う。
 カーサは小さくため息をつくと、スピードを落とした。
「遅い」
「っ」
 彼女の背後に付いてきていた青年が唇を噛む。力不足は自覚しているのだろう。いつもの減らず口は聞こえてこない。
 仕方ないか。所詮は若僧。転び立ての吸血鬼と古血を一緒にする事自体が間違っているのだろう。
「アリスはこっちか?」
「ええ! 間違いありません」
「まったく、あいつの放浪癖には困ったものだな」
「……楽しんでるくせに」
「何か言ったか?」
「いえ、何も」
 素直で懐柔しやすい男かと思えば、意外に口も達者で、からかった時の反応も面白い。こんなガキが何故選ばれたのか、と思った時も無い訳では無かったが、今では一緒に過ごす事を楽しんでいる自分がいる。
 この空間は、心地よい。
「さあて、トラブルメーカーが大人しく待っていればいいんだがな」
「我が君は人がよいだけでトラブルメーカーではありません」
「ついでにお前はトラブル増幅器だろう」
「心外です」
 憮然と言ってのけた青年は、黒い眼差しを空へと向けた。
 カーサは青年を見つめる。
「トラブル増幅器はあなたでしょう、カーサ」
「それこそ心外だな、ジロー」
 二人の吸血鬼が、ロンドンの夜を走る。





・番号6 ほのぼの甘 ねずしお

 白い肌に、赤い蛇。
 身体を締め上げるその模様はきっと艶めかしいのだろう。

「ネズミ?」

 底抜けのお人好しで、けれども残酷なまでに彼は純粋になれる。

「ちょっと、ネズミってば」

 声が柔らかい。温かい。
 耳朶に甘く響いた声にすら酔いそうだった。

「……寝ちゃったのかなぁ」

 頬にあたる、硬い感触。ここに連れてきた時より、ずっと痩せている。当たり前か、栄養状態もいい訳ではないのだから。
 だけども、温かい。

「まあ、いいか」

 そうだろ? 別にいいじゃないか。
 俺はあんたに助けられて、そして助けてやった。
 あんたは今ここにいるんだ。
 最近じゃああんたのせいで、悩み事は絶えないし、心配事も絶えない。ちょっと疲れたんだ。
 だから別にいいだろう?

「足、しびれそうなんだけどなぁ」

 今日ぐらい、あんたの膝を貸してくれ。






・十字界 流血スプラッタ ブラックシリアス

 一夜にして、私は望んだものを手に入れた。

 上質な着物をまとった少女は硬質な廊下を荒々しく進んで行く。いつもの何を考えているか分からない造られた無表情は、今はなりを潜めていた。
 地球上の孤島、極秘に建てられたこの巨大な研究所で、彼女は今苛立っていた。極秘だけれど、責任者の立場に近い彼女はこの島がどこに位置しているのか、研究者達さえ知らない事を理解している。
 しかし、と彼女は唇を噛む。
「忌々しい……!」
 軟禁しているはずの化け物が研究所内を闊歩している。あれほど、外に出すなと言ったのに! トップしか知らないはずのこの地を、あの化け物なら知っていてもおかしくない。何を考えているか分からないあの微笑を見ると、無性に苛つく。一体何を企んでいるのだ。あの仮面の下に、何を。
 一回目は騙された。おかげで私の役目はより難しいものとなってしまった。
 けれど二回目はもう許さない。
 今度こそ、あの化け物を飼い殺してみせる!


「花雪?」


 穏やかすぎる声を聞いた瞬間に、何かが弾け飛んだ気がした。
 青みがかった銀髪の男性体に向かって走る。あちらが反応する前に、

 血しぶきが迸った。

 赤い斑点が天井や壁に飛び散り、床にはおびただしい量の血が流れていく。
 右腹部を丸ごと吹き飛ばした花雪は、汚れた右手を振るい、赤をはらう。
「……本当に、あなたは化け物ですね」
 大人の頭ほどの穴が空いているのに、まだ男はそこに立っていた。
 忌々しい。
「っ……そうでもない」
 苦しそうに肩を上下させた男は、微笑む。
「これでまた、一週間はベッドの上だ」
「それを、化け物と言うんです。大人しくしていれば私とてこんな真似はしません」
 退屈なんだ、と男は笑った。笑いながら壁に背を預け、ずるずると崩れ落ちる。赤い水たまりに腰を下ろし、彼は一つ、息をついた。
 しばらくその様子を見ていたが、花雪は身を翻した。別段、留まる必要は無い。
 去りかけた彼女の背に、花雪、と呼びかけがかかったが彼女は振り向かなかった。
 大丈夫。
 大丈夫だから。
 あんな化け物でも、私は大丈夫。
 完全に、とは言えないかもしれないけれど、必ず御してやる。
 どくどくと、脈打つ心臓の上に、血塗れた右手を重ねた。
 肉を抉った生々しい感触。
 飛び散った肉片と血飛沫。
 フラッシュバックするそれらに、屈する事は無いけれど。
 けれども。


 真っ赤に染まった右腕右手指先までが、じんじんと熱く、疼いている気がした。



 くつくつと、男は笑う。
「所詮は小娘、か」
 力はあっても精神面で追い付かない。状況に置いて行かれているのに気付いていない。過信ばかりで自身の絶対値を見誤り、適切ではない手段で結果を導こうと足掻いている。
 血まみれの吸血鬼は、悲しげに微笑んだ。
 結果はもう見えている。だが、彼女とて被害者だった。
 頂点まで上り詰め、そして転落した吸血鬼は謳うようにそらぶく。


「最初に、誤ったのは――――」




 一夜にして、私は望んだものを手に入れた。

 そのはずだったのに。

 今私が忌むのは、右腕の黒い鳥と、私の存在なのは、いったいなぜ?

 馬鹿な小娘のせめてもの強がりが、どうか、強くて美しいあなたにばれないよう、私は振る舞うしかないのです。









 ふう。リハビリ兼ねて短文四つ。
 何かまだまだだなぁ。でも感覚は戻ってきた。前から書きたかったのを書いてみた。何かヨロズになりたい。けれど時間無い。
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